2024・2025年度挨拶文_副会長・常務理事

地域で必要とされている
病院・施設が評価されるように

副会長 近藤 国嗣

医療法人社団保健会 東京湾岸リハビリテーション病院 病院長

 

 当協会の副会長を継続して務めさせていただきます近藤国嗣と申します。

 協会におきましては、全国リハビリテーション医療関連団体協議会報酬対策委員会委員ならびに日本病院団体協議会診療報酬実務者会議委員など、主に報酬対策を担当しております。

 令和6年度医療・介護・福祉トリプル改定は、急性期リハビリテーションの充実、医療・介護・福祉連携の強化など、リハビリテーション医療全体では拡充された結果でした。

 しかし、当協会の会員施設の多くが運営しておられる回復期リハビリテーション病棟につきましては、運動器リハビリテーションの1日あたりの提供単位数の制限、体制強化加算の廃止など、非常に厳しい改定となってしまいました。一方で、同病棟入院料1、2の施設基準に、「地域リハビリテーション活動支援事業等の地域支援事業に、地域の医師会等と連携し、参加していることが望ましい」とされたことは、当協会が進めてきた地域リハビリテーションの取り組みは評価されたと考えられます。

 会員の皆様のご指導、ご鞭撻を賜りながら、地域に必要とされているリハビリテーション病院・施設が真に評価されるような仕組みとなるように、微力ではありますが尽力させていただきたく存じます。何卒よろしくお願います。

 

 

 

 

地域リハビリテーションの普及・啓発の継続
新たな展望と挑戦

副会長 佐藤 吉沖

医療法人銀門会 甲州リハビリテーション病院 病院長

 

 昨年度途中から副会長に就任しました。以前から研修委員会委員長を務め、地域リハビリテーションの普及・啓発や教育・研修を担当しておりました。斉藤会長、近藤副会長、常務理事、理事の皆様と共に協会の発展に尽力して参ります。

 新型コロナウイルスの影響により、地域リハビリテーション活動が一時的に中断されましたが、現在は各地域で再開されつつあります。診療報酬改定においても、地域貢献活動が重視されるようになり、これはリハビリテーションが単なる機能訓練ではないことを国が認めた重要な一歩です。このことは、老人保健健康増進等事業等における当協会の取り組みの成果とも言えるでしょう。

 地域リハビリテーション活動の再開にあたり、従来の方法に戻るのではなく、感染対策などを考慮した新しいアプローチが求められています。今年度のリハビリテーション・ケア合同研究大会では、「地域リハビリテーション新時代」と題し、新たな手法・役割を模索しながらの研究報告や活動報告を行う予定です。私が大会長として、プログラムを進めて参ります。

 後の10年は、高齢化が進む中で、働き手不足が深刻化すると予想されています。このような厳しい状況下であっても、会員の皆様と共に乗り越えていきたいと考えています。ご指導、ご支援をいただければ幸いです。

 

 

 

 

次世代の働き手に
魅力ある業界になる発信を

常務理事 井手 睦

社会医療法人雪の聖母会 聖マリアヘルスケアセンター 病院長

 

 斉藤会長の下で再度、常務理事を務めさせていただきます。委員会は、障害児・者支援検討委員会を担当します。対峙するエリアを狭くせずに、柔らかい発想で委員の先生方との意見交換を楽しみたいと思います。

 福岡県南部にある当法人の立ち位置で、ICUから在宅までのリハの実臨床を俯瞰して20年以上になりました。

 時勢と共に変わることそして変わらないことが当然ありますが、コロナ禍を経た医療情勢の中で、リハビリテーションが他の診療領域に圧されつつあるのを感じている方も少なからずおられると思います。

 社会のあらゆる職域で働き手の獲得が課題となった今日、若く質の良いヒトは「勢い」のある業界にしか目を向けてはくれません。将来の厳しい局面も囁かれる医療界の中において、次世代に魅力を発信できる方策が何なのか、会員の皆さまと考えていきたいと思います。

 

 

 

 

地域ごとの課題に対応できるシステムで、
地域リハビリテーションを継続的に進めていきたい

常務理事 大串 幹

兵庫県立リハビリテーション中央病院 病院長

 

 昨年度より常務理事、今年度から地域リハビリテーション推進委員会の委員長となりました。

 リハビリテーションの視点で、地域づくり、地域力向上、地域支援を考え、時代に合った活動を行っていくことが求められています。

 地域のニーズやデマンドは地域によって多様であり、その的確な把握とファクトチェックすら、個人ではパワーが足りません。地域の人々、行政、専門職、リハビリテーション病院・施設が協働することで、DXやネットワークが活用され、地域の問題やあるべき姿とのギャップ(課題)がオープンになり、効果的な活動につながる施策や制度の提案につながるのではないかと思います。

 地域づくり、地域力の賦活に向けて、地域に根差した当協会会員各位の力を、地域リハビリテーション推進につなげられるよう努めてまいります。よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

公立リハセンターで地域リハと
災害リハを充実させていきたい

常務理事 菊地 尚久

千葉県身体障害者福祉事業団 千葉県千葉リハビリテーションセンター センター長

 

  今回、常務理事の継続と新たに広報委員会委員長を拝命いたしました。会員施設の皆様に有益な情報を提供できるように努力して参りたいと思います。

 当センターでは県全体を俯瞰した地域リハを展開しており、県・地域リハ協議会・広域リハ支援センター・市町と協働して、質の高い地域リハビリテーションを進めて参りたいと考えています。

 

 また当センターは千葉JRATの事務局となっています。

 千葉JRATは2015年に県との協定を結び、2024年には県と協議して協定使用に対するルール作りも行いました。

 今回の能登半島地震でも当センターから3隊を派遣し、石川JRATに協力させていただきましたが、千葉JRATとして千葉県での発災に備えて、災害リハに対して平時からの準備を進めていきたいと考えています。

 

 

 

 

 

認知症の方と関わり
気づきを得られる活動を

常務理事 田中 志子

医療法人大誠会 内田病院 理事長

 

 本年1月、認知症基本法が施行され、ご本人の意思や活躍を尊重し人として同じ目線で彼らと暮らすことが定められました。また、原因として認知症が大きな割合を占める病棟での身体拘束を減らすことへ評価がより促進されました。今後はリハビリテーションを受ける認知症の方が増えてくることが考えられます。

 協会では認知症対策検討委員会一筋で仕事をし、いくつも認知症に関する研修会や認知症の方に困っている現場との1on1の相談会を行い、その内容を本誌に連載もしてきました。少しずつではありますが、認知症の方への関わりに興味や楽しさを持てる皆様も増えたと期待しています。

 今後さらに皆様が「認知症の方と関わることって楽しいし、認知症だからといって特別なことではなくて普通の患者さんだ。もっと考えれば普通の地域住民だ!」と気づける活動をしてまいります。

 

 

 

 

 

今後の対策に資する協会調査への
さらなるご協力を

常務理事 德永 能治

一般社団法人是真会 長崎リハビリテーション病院 法人本部診療統括

 

 調査・検証員会では、継続調査①-③及び臨時調査④を実施しております。

 

 ①「会員施設調査」②「回復期から生活期までのリハビリテーションの効果に関する調査」③「地域包括ケア病棟退棟後の生活期リハビリテーション効果に関する調査」④「生活期外来医師リハビリテーションについての調査」が主な活動です。

 調査①は本年67%の回答率でした。今後も多くの回答をいただけるように整えてまいります。②は、生活期リハの成果要因を分析し、診療報酬改定に寄与できたと思われます。③では、地域包括ケア病棟協会と合同で委員会を開催し、地域包括ケア病棟、退棟後リハ実施状況について、またリハ効果について未検討の分野を明らかにしてまいりました。臨時に④を行い結果をホームページに掲載しました。生活期の定期的なリハビリテーションに関わる医師の実態を明らかにし、医師による外来診察は有意にADLの改善を示すことができました。

 本年は診療報酬介護報酬改定の年であり、近日中に改定に伴う影響や対策について臨時の調査を行い会員施設の今後の対策に資することができるように努めてまいります。

 

 

 

 

 

2025年問題とフレイル予防
-わたしたちの戦略は?-

常務理事 平田 好文
医療法人堀尾会 熊本託麻台リハビリテーション病院 理事長・病院長

 

 今年度から地域リハ推進委員長を大串先生にバトンタッチして、わたしは副委員長をさせてもらうことになりました。大串先生と地域リハ推進委員会の3年計画の残り2年を推進したいと思っています。

 現在、わたしの頭の中は2025年問題でいっぱいです。後期高齢者が一挙に増加して、独居が実に33%となり、プレフレイルとフレイル合わせて50%にも達するとの報告をみると、フレイルをそのまま要介護者に移行させては大変なことになります。

 わたしたちは、フレイル予防の戦略として「転倒骨折しない街づくり」を熊本県に提案し、今年は、フレイルから始まる地域リハビリテーションをテーマとして掲げています。熊本市から広げていくために地域密着の啓発戦略が必要です。全国の地域リハビリテーションの方から指導を受けながら、活動していきたいと思っています。

 よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

医科歯科連携のさらなる推進を
リハ・栄養・口腔連携をよりよくするために」

常務理事 若林 秀隆
学校法人東京女子医科大学 東京女子医科大学病院 リハビリテーション科教授

 

 今回、常務理事と医科・歯科連携推進委員会の委員長を継続することになりました。

 令和6年度の報酬改定で、急性期病院ではリハ・栄養・口腔連携体制加算、リハ・栄養・口腔連携が求められる地域包括医療病棟、回復期リハ病棟の入院基本料1、2では口腔管理および歯科との連携体制整備、介護保険ではリハマネジメント加算(ハ)など医科歯科連携を含めたリハ・栄養・口腔連携が多くのセッティングで新設されました。これは当協会から出していた医科歯科連携の要望が反映されたと考えています。

 しかし、歯科標榜していない回復期リハ病棟に勤務している歯科衛生士への評価はありませんでした。医療や介護の現場でリハ・栄養・口腔連携がどの程度推進されるかはわかりません。今回の報酬改定による算定の実態や要望に関する調査を行い、よりよい加算や仕組みになるよう努力します。

 今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。