独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業 全国災害リハビリコーディネーター養成事業

 本事業では、一般社団法人 日本リハビリテーション病院・施設協会が助成申請主体となり、「独立行政法人 社会福祉機構 社会福祉振興助成事業」の助成を受け、大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会に属する団体(日本リハビリテーション医学会、回復リハビリテーション病棟協会、全国デイ・ケア協会、地域リハビリテーション研究会、日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会、介護支援専門員協会、日本訪問リハビリテーション協会、日本義肢装具士協会)を連携団体として委員会を組織し、災害リハビリコーディネーター養成研修会を実施した。

事業の実施状況 成果・今後に向けた課題

東日本大震災を機に結成された大規模災害リハ支援関連団体協議会(JRAT:リハ関連11団体で構成)では、災害時にリハ専門職が連携して速やかに適切な対応をとれるように備えるべく、都道府県単位の多職種災害リハコーディネーター育成のための研修会を開催してきた。

平成24年度JRATの独自事業として平成25年2月に開催した第1回災害リハコーディネーター養成研修会に引き続き、平成25年度は独立行政法人福祉医療機構の社会福祉振興助成事業の助成を受けて3回(第2,3,4回)の研修会を開催し、第1回と合わせて計4回の研修会により、全47都道府県を網羅することができた。

計4回の受講者総数は272名で(本事業である平成25年度中の3回の受講者総数は210名)、各回11~13の地域から医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師・保健師、介護支援専門員、行政職等から構成されるチームが参加し、2日間に渡り、基礎知識習得のための講義とともに、災害現場・地域でのコーディネーションの習得を目的とした演習が行われた。

受講者の属性は、年齢中央値が44歳(24歳~71歳)、職務経験年数中央値が18.5年(2年~45年)、これまでに災害研修受講歴のある者が87名(32%)、災害支援参加経験のある者が86名(32%)であった。

災害リハに関する理解度スコア(25項目、100点満点)の受講前後の変化は、中央値が18.0点から52.0点へと統計学的に有意な上昇を認め、事後アンケートでは、研修会の受講により、災害リハに対する意識の変化、他職種との連携の重要性の実感、平時からの災害研修の必要性の実感があったと答えた者がほとんどであった。

モデルとして北海道、愛媛県、和歌山県においてコーディネーターによる報告会・研修会が実施された。

平成26年3月現在で長崎県、新潟県、東京都、愛媛県、北海道、高知県、富山県、山梨県、京都府、和歌山県、徳島県そして関西圏域などで受講者を中心に報告会や研修会の開催および行政との連携等の取組みが積極的に行われ、協議会等の発足など徐々に組織化が始まっている。

以上のように理解度スコアの変化及び受講後の活動状況から、本研修会には災害リハビリテーションを推進していくうえで大きな成果があったと考えられる。今後、各地域で災害リハ体制を確立していくための課題は、以下のとおりである。

災害リハに関する課題整理

  • 災害救助法にリハ専門職が明記されること
  • 大規模災害リハ支援関連団体協議会(JRAT)としての財源確保
  • DMAT等との連携強化(EMIS活用法の確立)
  • 各団体における研修会
  • 都道府県毎に災害リハ支援チームの育成・組織化
    • 全国規模でのネットワーク化(情報網の確立)
    • 災害リハに関する教育・啓発のための研修
    • 災害支援必要機材備蓄
    • 大規模災害時の直接的活動
    • 災害救助チーム(DMAT、JMAT等)との連携・合同訓練実施
    • 行政との連携(災害対策マニュアルの中での明確な位置付け)

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