2005年12月10日、東京・JAホールにおいて、「介護予防と地域リハビリテーション」をテーマに当協会主催の第2回リハビリテーション研修会が開催された。
まず、厚労省老健局老人保健課課長補佐の桑島昭文氏による「介護予防について」の講演では、軽度者の大幅増加とサービスが状態の改善につながっていない等の課題に対して、新予防給付の創設、地域支援事業の創設を行い、予防重視型システムの転換を図るという経緯について話された。具体的には、地域包括支援センターによる客観的・中立的・包括的マネジメントの実施により多様な地域資源を活用し、包括的・継続的な地域生活を支援することや利用者の自立に向けた目標志向型プランの策定が重要であるとし,事業提供者も,目標を持って生活に着目した多職種によるリハを行い,効果を対象者と共有するとともに地域包括支援センターに報告をするという流れも紹介された。マネジメントをしっかり行って品質管理をすることの重要性を強調された。
次に、当協会副会長の米満弘之氏による「地域リハについて」の講演で、,わが国のゴールドプランの流れや急性期・回復期・維持期・終末期におけるリハ医療の現状と課題を明確にしたうえで、地域リハの定義と活動指針をもとに人々の生活機能を高め自立支援のためにチーム医療や地域連携・ネットワークの重要性を述べられた。
最後に、「介護予防とリハ」について、4人のシンポジストによる活動報告がされた。高知市保健所保健師の吉永智子氏は、介護予防メニューとして“いきいき百歳体操”を取り入れ、成果を出している様子をビデオで紹介された。
石川県リハセンターOTの村井千賀氏は、県内の在宅退院者の追跡調査で自立者の4割が1年間に悪化している現状から、退院後早期にアセスメントをして“できる能力”の見極めをしたうえでの関わりが必要であると述べられた。
大阪市茨木保健所所長の柳尚夫氏は、介護予防事業の地域展開で前期高齢者を中心としたボランティアが体力向上等の技術援助を行うなど、地域リハの視点から市町村全体での取り組みを提言され、市町村と事業所との役割分担と連携の重要性を強調された。長崎大学保健学科教授の松坂誠應氏は、運動器の機能向上プログラムのうち、要支援・軽度要介護者および非該当の虚弱高齢者に対するプログラムと効果、効果判定に役立つ必要最小限の評価項目について、多くのデータでその根拠を示した。また、栄養改善については低栄養のみならず肥満、過栄養に対する対策の重要性も述べられた。さらに、今回初めて協会から「介護予防の定義と活動指針」について内容紹介があり、盛りだくさんの研修であった。
(NTT東日本伊豆病院看護部 諸伏悦子)