2006年3月4日、東京・浜離宮朝日ホールにおいて、当協会の平成17年度第3回リハビリテーション研修会が定員350名をはるかに超える参加者のもと、盛況に開催された。今回の研修会は、リハ関係者にとって今最も関心の高い「診療報酬及び介護報酬の同時改定と今後のリハビリテーション」についての講演であり、会場からは講演者の話を一言も漏らさず聴こうとする真剣さと熱気が感じられた。
最初に石川誠副会長の「診療報酬改定とリハビリテーション」について講演があった。なぜ史上始まって以来の下げ幅となってしまった診療報酬改定なのか、それから診療報酬改定の全貌、そしてリハビリテーション本体はどうなっているのか、また今回の改定の前後で比較するとどうなのか、など予定の1時間半を超える講演となった。
診療報酬は全体で3.16%の過去最大の下げ幅となり、介護報酬も昨年10月改定を含めると2.4%の引き下げとなったことを、診療報酬改定の4つの基本方針に沿って詳しく解説された。(1)患者から見てわかりやすく、患者のQOLを高める医療の実現、(2)質の高い医療を効率的に提供するために、医療機能の分化・連携を推進する、(3)今後重点的に対応していくべきと思われる領域の評価、(4)医療費の配分の中で効率的余地があると思われる領域の評価、の4項目である。
さらに、リハビリテーションの主な改定内容として、
(1)現行の体系を改め、4つの疾患別評価体系とする
(2)疾患ごとに算定日数の上限を設定する一方で、逓減制を廃止する
(3)集団療法の廃止、機能訓練室の面積要件の緩和、発症後早期の患者の算定単位数上限の緩和
(4)回復期リハ病棟の算定対象状態の拡大を行い、状態ごとに算定日数上限を短縮する
などを解説された。特に(1)の疾患別体系、(2)の疾患ごとの算定日数制限については当協会をはじめ、リハ関連5団体の強力な反対にもかかわらず、このような改定になってしまったことが、演者の石川先生のことばから参加者には十分ご理解できたと思われる。厳しい改定の中でのご尽力には感謝申し上げたい。なお、講演内容については本号に特集として詳細に掲載されている。
次に桑島昭文厚生労働省老健局老人保健課課長補佐の「介護報酬改定等のポイント」についての講演があった。療養病床の現状から再編成へのイメージが語られ、38万床から15万床へ削減する見通しが示された。介護報酬等の改定については、各サービスの報酬・基準の見直しとして、5つの基本的な視点、
(1)介護予防、リハビリテーションの推進
(2)中重度者への支援強化
(3)地域包括ケア、認知症ケアの確立
(4)サービスの質の向上
(5)医療と介護の機能分担・連携の明確化
に沿って、介護予防サービスをはじめ、訪問看護、通所介護、介護療養型医療施設の見直しなどのポイントを解説された。
最後に斉藤正身常務理事の「介護報酬改定と今後のリハビリテーション」についての講演があった。通所介護・通所リハを中心に今回の改定内容とこれからの取り組みを高齢者リハビリテーションのあるべき方向とからめ、解説された。また、今後の対策として、キーワードは「連携と協働」が大切であると結んでいた。
最後の「フリーディスカッション・質疑」では多数の質問が参加者から寄せられ、時間内にすべての質問に回答をすることができないくらい、大盛況の研修会であった。